メガネ属性≠負け属性

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ラヴアール レビュー ーギャルゲーで写真を撮るインタラクティブ性ー

「推しが武道館に行ってくれたら死ぬ」は今期のダークホースであった。
握手会の会話が完全にギャルゲーだ!と気づきを得て
急にギャルゲーがしたくなったので「Love R kiss」というゲームを買った。
6人いるヒロインの内、3人まで攻略済みではあるが、
どの子のルートも非常に高い没入感があり楽しい。

LoveR kissレビュー

現実と虚構(創作物)にある境界。
創作物を受け手に届けるための手段で重要なポイントの一つは、
この境界をどこまで不安定なものにできるか。である。

境界を不安定にするということを言い換えると没入感となる。

プレイヤーの操作がゲーム内容に影響を与え、
そのレスポンスを受け取ってプレイヤーが操作する。
ゲームはインタラクティブ性を持つことでプレイヤーに没入感を与えている。

写真を撮ることのインタラクティブ

LoveRにおいて、「フォトセッション」というシステムがインタラクティブ性の基礎にある。
「フォトセッション」とは、学校生活の中でヒロインに写真のモデルになってもらって撮影するイベントである。

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ヒロインの一人、篁莉里愛とコミュニケーションを取りながら撮影をした1枚。ジャイロ操作で構図を決めながらの撮影はゲームといえど臨場感が高まる。
フォトセッションでは、ヒロインに「かわいい」とか「笑って」など呼び掛ける。すると、ヒロインは呼びかけに応じて様々な反応を見せてくれ、色んな表情やポーズを取ってくれる。プレイヤーはそれに応えて、ヒロインを撮影する。
ここには、撮影を通じてヒロインとのコミュニケーションが発生している。これが一つインタラクティブ性となっている。

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姫乃木凜世の小学生らしい、可愛さを出すために小ささを強調した。こういった写真を本気で撮っている姿は犯罪臭がするので他人に見られてはならない。絶対に
また、写真を撮るという行為は撮影者の視点から見た被写体を切り取り他者に伝えるということである。
そのため、ヒロインが魅力を写真に収めるためには、必然的に被写体(ヒロイン)に向き合い、自分がヒロインのどこに魅力を感じたのかを考えていくことが大切になる。
そうなると、写真を撮るという行為は見た目な行為以上に深いインタラクティブ性を持つことになる。
つまり、フォトセッションでは写真を撮る行為と撮影を通じたコミュニケーションの二つインタラクティブ性を持っていることになる。

フォトセッションを根幹に据えたストーリー

LoveRの恋愛シミュレーションゲームなので、当然ヒロインとの恋愛がストーリーの主軸となる。
学校生活の中でヒロインと仲を深め、やがて恋仲になる過程を描く。普通の日常の中で描かれることが、(アマガミフォトカノなどTLS系シリーズの流れを汲む)本作の特徴のひとつとして挙げられる。
運命的な出会いがなければ、乗り越えなければならない困難もない。
主人公とヒロインがお互いに何に惹かれ仲を深めていくのということに物語はフォーカスされる。本作ではお互いに目標や動機を与え、それを助けあう関係を築いてく。
(ここで、どのルートでも、主人公はヒロインから写真を撮るモチベーションを与えられていることは、プレイヤーは主人公に寄り添うための一つミソである。)

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クリスタはストーリーを進めていくと、あることをきっかけにイヤリングをつけるようになる。
また、ストーリーを進めて、ヒロインとの仲を深まっていく過程はフォトセッションでも感じられるようになる。
それは外見のちょっとした変化や、呼びかけ対するヒロインのセリフの変化である。

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仲座ろみは芯を持った学園アイドル。強気な眉がチャームポイントだと会話イベントを受けて、特徴を捉えた瞬間を狙った。
その他にも会話をしていく中でプレイヤーはヒロインの様々な一面を知ることができる。
プレイヤーは知らず知らずのうちに、そこで感じた魅力をフォトセッションに反映してヒロインの内面に合わせた写真を撮るようになる。これもフォトセッションを活かしたインタラクティブ性と言える。

本作では「フォトセッション」というシステムを根幹に据えることで、各ヒロインとの「ストーリー」のインタラクティブ性を高めているのである。

そして、「フォトセッション」と「ストーリー」の二つがラストのリエル祭(主人公が通う学校の文化祭の名前)の写真展として結実することで、本作はプレイヤーにカタルシスを与えるのである。

今日の一枚

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万年筆買ってから文字書くのが楽しい。
この記事を構成練るのにだらだら2,3ページくらい書き殴ってた。
楽しい。
昨今の状況のように外出できないとき、日用品にちょっとだけ凝ると日常がちょっとウキウキする。

閑話

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「推しが武道館にいってくれたらしぬ」のEDに「桃色片想い」を起用した人は天才。