つい先日、「きまじめ姫と文房具王子」という漫画を買った。
…あれ?前の記事も「つい先日」で始まるな?
wanwanfever.hatenablog.jp
えー…5/31に「きまじめ姫と文房具王子」という本を買いました。
帰ってきて開けたら4巻だけが見当たらなくてさ、帰ってきたばかりで無くすわけと思いながら部屋の中を探して、車の中を探してもない。いや、まさか、セルフレジで4巻のうち1巻だけ置いてくるなーんてことある訳ないだろ…と思いながら、お店に電話したら「あります」って言われるもんだから、まったく…自分の行動が信じられなくて笑ってしまったよね…
ノートの単価ってどれくらい?
さて突然だが、ノートの値段の値段について考えよう。ページ一枚の値段についてだ。
おそらく使ったことがある人が最も多いであろうキャンパスノートは1冊30ページで170円(税抜)。じゃあ、ページ一枚の単価はいくらだろう。1冊30ページなので170円を30で割ると5.67円。
これまたメジャーな無印ノートは1ページあたり6.03円。キャンパスノートより少しだけ高め。
使っている人はあまり見ないけれど、だいたいの書店に置いてあるツバメノート、1冊30ページ190円。ページ単価は6.33円。見た目の装丁が格調高いけど思ったより高くはない。
ほかにも万年筆に少しハマるとよくでてくる神戸派計画のグラフィーロ。サイズはA5なので若干サイズは違うが、1冊64ページ700円。半端な枚数だけど16ページ折の製本なのかな。ページ単価は10.94円!桁が一つ上がってかなり割高感がある。
じゃあ、高級ノートと呼ばれるものはどうだろう。例として、ライフ ノーブルノートを取り上げよう。B5サイズだと1冊100ページ1200円。つまり1ページ12.0円…!なんと無印ノートの倍の値段だ。
これらの価格の違いはどこから来るのだろう。パッと思いつくのは紙質や装丁だ。調べてみると紙の重さもある。重くなるほど繊維が詰まっていて裏抜けが少なくなるらしい。他にも、凹凸が少ない紙は書き味すらすら、紙の色や罫線の見やすさのこだわり、ノート見開きした時に平面になりやすい作り…などなど。調べるほど色んな情報が出てくる。
このようにノートひとつ取り上げるだけでも、文房具には実に多くの種類があると推し測ることができる。
文房具、最も身近にある道具
それにしても文房具はいつからあるのだろうか。
もう少し前からあるかもしれないが、文字ができた時点から存在することは明白だ。
(流石に同じ形状のものが使われているわけではないが…)
そして誰もが使ったことのある馴染みの深い道具でありながら、
面白いことに未だに新しい製品がつくられている。
しかし、日常に当たり前に存在するがゆえに、文房具ひとつひとつに詰まっている「アイディア」にあえて気を留めることはほとんどないだろう。
「アイディア」とは、誰かが世の中をより良くしようとした結果である。
誰かの思いから生まれた「アイディア」には、文房具には、そのひとつひとつに物語が詰まっている。
「きまじめ姫と文房具王子」あらすじとエピソード紹介
誠心大学の講師として赴任した 姫路かの子 は文房具ヲタクの 蜂谷皐月 と研究室が相部屋になる。かの子が蜂谷と蜂谷のもとに集まる「文具研究会」のメンバーの文房具愛に巻き込まれながら日々を過ごすうちに文房具に興味を持つようになる…というのが「きまじめ姫と文房具王子」のあらすじである。
本作では、文房具を通じてかの子と蜂谷、そして「文具研」の人間ドラマが描かれる。
ここでひとつ、第2巻に収録されている「児童文具」というエピソードを紹介しよう。
かの子の姪の眞子ちゃんが中心に描かれるエピソードなのだが、最近妹が生まれてお姉ちゃんになった眞子ちゃんの行動がリアリティが感じられて印象的。
このエピソードは眞子ちゃんがお気に入りのボールペンを無くしてしまい、文具研の人たちとデパートに買い直しに行くのが物語の発端となる。お気に入りのボールペンは難なく見つけられるのだが、もうじき小学生になる眞子ちゃんと児童文具を見て回る事になる。
作中出てくる児童文具は、自分の時代にも欲しかったと思わせるようなものがたくさんあり、作中のかの子たち同様に感心するばかりだ。
そしてかの子は眞子ちゃんに欲しい文房具を聞いて、プレゼントする。眞子ちゃんは子どもの手には大きいめの実用性重視なハサミが欲しいというが、かの子はこれまで見てきた児童文具の方がいいのではと、やんわり軌道修正しようとする。しかし、眞子ちゃんは「大人のハサミくらい使えるもん!!」「眞子はなんでもできるようになるんだもん。お母さんがこまらないように。」とはねのけ、結局大ぶりなハサミを買うことになる。
この一幕の後、
「果たして文房具の進化って本来の子供の成長を助けるために向かっているのでしょうか」と
かの子は自問するように蜂谷に問う…
この話にはもう少し続きがあるのだがここでは敢えて割愛する。
技術は時に創造力を子どもから奪ってしまうのではないかと危惧するかの子の問いはハッとするものがあるが、それに対する蜂谷のアンサーも鮮やかだ。ここの蜂谷のセリフと眞子ちゃんの表情がとても良いので、もし興味を持ったらぜひ実際に読んでほしい。
どの家庭にも存在する文房具。時にそこに眠る物語を手繰りながら、時に時代の中で変化してきた文房具に焦点を当てながら、本作「きまじめ姫と文房具王子」は話が展開される。
溢れんばかりの熱量にあてられて、思わず実物を触りに文房具屋に赴きたくなる作品だ。