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花咲くいろは~いつか咲く場所~

 小説版「花咲くいろは~いつか咲く場所~」はぼんぼり祭りで願い札に「四十万スイになりたい」と書いた少女、松前緒花の7年後を描いた話だ。第1話ではホテル専門学校を卒業し社会人になった緒花が「喜翆荘」のある湯の鷺温泉に戻ってくるところまでを描かれ、毎月1話ずつ全6話が刊行される。
 文章だけでもそれぞれのキャラクター達の様子が鮮明に思い浮かび、「花咲くいろは」のキャラクター達の個性の強さを感じることができる。

 「花咲くいろは」は老舗旅館「喜翆荘」を舞台として、主人公の松前緒花を始め、個性豊かな喜翆荘の従業員たちを描いた物語である。
 その中で松前緒花は自分のルーツを見つけていく。母子家庭の中で育った緒花は、母親以外の親族を知らない環境にいた。そのうえ、唯一の親族である母親・松前皐月は家事はしない、彼氏を作っては別れを繰り返す奔放でだらしない。そんな生活の折、夜逃げを敢行するという松前皐月の計画により、突如松前緒花は面識のない祖母・四十万スイの下に送られる。四十万スイは喜翆荘の女将であり、祖母の下を訪れた松前緒花はそこで暮らしていくために旅館の中居として働くことになる。
 喜翆荘で働く中で松前緒花は、喜翆荘の女将としてのの四十万スイを知る。また、喜翆荘の若旦那であり、叔父にあたる四十万縁やその他喜翆荘の従業員から、家を出る前の松前皐月のこと、父親との出会いを知る。そして、旅行雑誌に喜翆荘を辛口評価されたことを発端にした一連の騒動では、仕事人としての松前皐月の姿や、親子としての四十万スイと松前皐月の姿を知っていく。
 アニメは女将の意志により喜翆荘を閉じて、緒花はまた東京で松前皐月を二人で暮らすようになるところで終わる。自分を形成する土台を知ることで花を咲かせる準備が出来上がるところまでが描かれた。

 その後、松前緒花の「いつか咲く場所」であろう喜翆荘に戻ってくる物語を描くのが小説版である。小説版の魅力は何と言っても、「花咲くいろは」の続きの物語を読めること、懐かしのキャラクター達のその後を知ることができることである。
 また、小説の第1話は、松前緒花と四十万スイの手紙のやり取りが物語の中で大半を占めており印象的である。喜翆荘の女将という着物を畳んでただの祖母と孫としてのやり取りが見られ、ファンには嬉しい展開である。その四十万スイの手紙に、喜翆荘を再興することに縛られずもっと自由に緒花のやりたいことを見つけて欲しいという文章がある。喜翆荘は元々、四十万スイとその夫が自分たちの旅館を持ちたいという夢をかなえた旅館であった。それは、四十万スイにとって自分が抱いた夢であり、喜翆荘を再興したいという緒花の願いは自分の夢を背負わせ、縛らせているのではいかと危惧している。
 小説版はつい先日第1話が刊行されたばかりだ。アニメ最終話のサブタイトル「花咲くいつか」に呼応する副題がつけられた小説「花咲くいろは~いつか咲く場所~」で、喜翆荘という舞台を中心に描かれたアニメ24話(+劇場版)を通して抱いた緒花の願いがどうなっていくのか、喜翆荘の再興は果たせるのか、今後の展開を楽しみに待ちたい。

www.pa-works.jp

今日の一枚

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去年の今頃は秩父に行ってたみたい、すっごい楽しかったからもう一度行きてえな