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白い砂のアクアトープ -P.Aのお仕事アニメに寄せる期待-

 架空の水族館「がまがま水族館」のHPが非常に凝っていてリアルだと一部で話題となった、アニメ『白い砂のアクアトープ』は作中でも水族館のバックヤードの描写が念入りに作られている。これまでP.A WORKSが制作してきた『花咲くいろは』や『SHIROBAKO』、『サクラクエスト』といった”お仕事アニメ”の系譜を強く感じる作品だ。”お仕事アニメ”の面白さのひとつは普段は見えない仕事の裏側が見えるところである。
 例えば、『SHIROBAKO』は、アニメーション会社の制作として働く女の子を描いた物語。ところどころで激務と噂されるアニメ業界のブラックなネタが挟まれる。あくまで作中のネタの範疇ではあるが、作り話とは言いきれない妙な説得力がある。

 『白い砂のアクアトープ』は、始めに書いたように水族館で働く人々を中心に描いた作品。高校卒業を控えた夏にアイドルを引退した宮沢風花は地元・盛岡へ帰郷を辞めて、あてもなく沖縄に旅立つ。そこで訪れた「がまがま水族館」でアルバイトとして雇ってもらうところから物語が始まる。「がまがま水族館」の館長の孫であり、館長代理を務める海咲野くくると宮沢風花を中心、水族館の飼育員の仕事の様子が描かれる。
 それぞれの魚に合わせて違う餌を準備したり、日々ペンギンの体重を管理したり。そして1クール目の最後では閉館する「がまがま水族館」から他の水族館へ魚を移す準備まで水族館で飼育している生き物たちへの描写が細かく描かれている。1,2千円払えば入館でき、多くの魚たちを見ることができる水族館のその裏にある努力の一端を感じ取ることができる。

 現在始まったばかりの2クール目では、舞台を「がまがま水族館」よりも大きい水族館「アクアリウム・ティンガーラ」へと移す。風花も含め「がまがま水族館」のメンバーのほとんどがそのまま「ティンガーラ」に務めることになるが、これまでの”お仕事アニメ”の中では仕事場が変わる点は、変化球として面白い。加えて、くくるは高校卒業後に新入社員として「アクアリウム・ティンガーラ」に就職するも、希望していた飼育部ではなく営業部に配属されてしまう。1クール目では水族館の生き物を第一に仕事をするセクションである飼育員を中心に焦点を当てられてきたが、2クール目では営業として外から人を呼び込む、人を相手にするセクションにも焦点を当たることになる。
 本作は、海咲野くくると宮沢風花のダブル主人公の形をとっているが、1クール目ではどちらも飼育員だったところから、2クール目で飼育部と営業部となり仕事上の立場の違いができたことでそれぞれの目には水族館という施設・職場がどのように映るのだろうか。
 舞台がより大きな水族館に移り、新たに登場した個性的なキャラクター達が物語をどう盛り上げてくれるのか、くくると風花のふたりの関係性の変化もどうなっていくのか気になるところだが、”お仕事アニメ”としては営業部といったセクションが増えることでより水族館という場が立体的に浮かび上がるような作品になるのではないかと楽しみにしている。

今日の一枚

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先日、水族館に行ったのは市民割引券を貰ったからってのもあるけど、この作品を観た影響がないとも言い切れない。