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話数単位で選ぶ、2021年TVアニメ10選

昨年初めて参加しました、「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」に今年も参加します。

■「話数単位で選ぶ、2021年TVアニメ10選」ルール
 ・2021年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
 ・1作品につき上限1話。
 ・順位は付けない。
 ・集計対象は2021年中に公開されたものとします。

スーパーカブ 第1話『ないないの女の子』

まずは、第1話のつかみが素晴らしかった2作品から。
何といってもスーパーカブの丁寧な描写、実在感が素晴らしい。スタンドを上げる、ハンドルロックを解除する、キックスタートでエンジンを始動させる。スーパーカブを扱うひとつひとつ動作に効果音が合わさってまるでスーパーカブという鉄のかたまりがそこにあるように錯覚させる。加えて、カブのエンジンがかかった時に画面全体の彩度が上がる演出ももちろんながら、他にも、アパートに帰って自分の部屋からカブをニヤニヤと眺めちゃうところとか、自分で新車買った時の高揚感を思い出されてとても好きです。

古見さんは、コミュ症です。第01話『喋りたいんです。』

ギャグマンガの1話でこんな感動するとは思わなかった。アバンの小学生や黒猫の動き、新海誠監督映画を思い起こさせるような鮮やかな色彩。この時点で満足感が高いですが、古見さんと只野くんの黒板を使って会話するシーン。セリフがなくなり、ピアノソロをバックグラウンドに、ただ2人が黒板に文字を綴っていくのを映していく。このシーンの美しさに心が奪われました。軽快なギャグ調の動きも微笑ましく、2人が夢中になって黒板で会話しているのが伝わってきます。チョークの粉や、風でたなびくカーテンとそこから差し込む柔らかい光、小道具のひとつひとつが教室の澄んだ空気感を感じさせて非常に美しい映像になっていました。

かげきしょうじょ‼ 第八幕『薫の夏』

2021年8月22日に放送されたこの回、夏の終わりにほろ苦い恋の物語。放送タイミングもズルいくらいに嚙み合ってて深く心に残るエピソードでした。
自分はこの話でダントツ、薫のことが好きになりました。こういう気高さ、芯を持った強いヒロインは非常に好き。この強さが結果的に辻陸斗くんとの恋愛の終わらせてしまうのだけど、それもまた切なくて良い。
終盤の街頭のテレビ中継で辻くんの活躍を偶然目にするシーン。これまでの薫からは想像できないほど不格好にテレビに貼りついて泣いてしまうところは本当に良い。あの日の薫は試合の日程、どこまで知ってたんでしょうかね。だって、知らないとたまたまテレビ前を通りかかったくらいじゃ内容が入ってこなくて見逃すと思うんですよね。だから、薫はずっと辻くんのこと気にしてて日程とか調べてたんじゃないかな。それでも、レッスンとかあるから家で見ることは出来なくて...とか色々と考え始めるとキリがないです。

ほんと、こういう周りのキャラクターにスポットがあたる話は良いですよね。作品世界に広がりが生まれるというか、より立体的になるというかそんな気分にしてくれます。

シャドーハウス 第7話『不完全な地図』

お披露目が始まってから右肩あがりに面白くなっていった作品。そのお披露目で始まった庭園迷路の攻略はキャラクターたちの個性が物語を盛り上げていたなと。
特にこの回は、個性的なキャラクターたちのセリフの掛け合いが絶妙な回でした。Bパートでエミリコ、ショーン、ラム、ジョンの4人が合流してそれぞれの方針について議論が始まるわけだけど、5分程度の間、セリフの掛け合いの中にそれぞれの個性が遺憾なく発揮されながら攻略のカギをきちんと見つけていく、見ていて舌を巻くというか、非常に小気味いいシーンが出来上がっていました。

ウマ娘 プリティダービーSeason2 第2話『譲れないから!』

今年はスマホアプリのおかげでウマ娘がとっても賑わっていましたね。
このSeason2が放送された時点では1期を観ていなかったけど、この回を観て、「これは」と思い視聴を決めました。日本ダービーで2冠目を手にしてついに3冠目の菊花賞に臨むところで足の骨折が発覚し、出走が危うくなるトウカイテイオー。Aパートは骨折を治して菊花賞に出ようと努力するトウカイテイオーとトレーナー、チームスピカの面々が描かれます。サブタイの『譲れないから!』はそんなトウカイテイオーの気持ちを表しているのかと思っていました。しかし、史実通りトウカイテイオー菊花賞に出れず、レースが始まってしまう。自分が出るはずだったレースを観客席で見守るテイオーの姿も胸に来るものがありますが、「テイオーが出ていればなんて絶対言わせない!」「テイオーに負けるもんか!」とレースに出ているウマ娘たちの気持ちにフォーカスが移っていくとは…本当にやられました。サブタイはテイオーだけでなく、この子たちの気持ちにもかかっていたのだなと。ネイチャさん、ほんと名脇役で好きになってしまいますわ...

バック・アロウ #21『誰が私を止められるのか』

今年一番のビックリドッキリを仕掛けられた回。
ビット軍師管理大元帥のまさかまさかのブライハイトにまず驚かされて、シュウ・ビの復活の仕方でさらに驚かされるという、見事な二段構え。シュウ・ビは途中退場するわけないというとこまでは予想させといて、復活の仕方までは予想をさせないという、してやられた~という感じ。まさか文字通りビックになって帰ってくるとは誰も予想ができなかったぜ…いやー笑わせてもらった、自分の予想の斜め上を行かれてこんなに面白いことってある?

ブルーピリオド Ep.10『俺たちの青い色』

しかし、2次試験の前日に、2人で小田原の、海の見える旅館で、セルフヌードを描き合うって状況整理すればするほどぶっ飛んだ展開で最高。緊張感のある前話からの引きとシチュエーションに魅せられて選出しました。
美大の入試と珍しい切り口が興味深かった本作はキャラクターもアクが強く個性的ですが、特に龍二花守ゆみりさんの声が凄くハマり役だと感じますね。少年の役に女性声優が男の声を当てるのはよくあることですが、こういった等身がリアルに近い作風だと、よくて高い声の男性声優を起用するイメージです。龍二の場合は、女装キャラに女性声優が男性声で演じてて、と書いているだけでも困惑してきますが、体と心のアンバランスさが引き立ってて、底を探りたくなるような不思議な引力が生まれているような感じがします。
また、ここでは「優等生の服は重くて暑そう」という龍二のセリフがありますが、龍二を含めこの作品のキャラクターはみな何かしら自分を守るための服を着ているような印象があって、それらをテーマである美術を通して向き合うことで個性的なキャラクターが組み上げられている。そんな風に感じます。

不滅のあなたへ #20『残響』

次の2作品はこれまでの物語が結実して胸にスッときた最終回。
自由気ままでやりたいことは全部やりつくしたと言うピオランは、これまでフシが出会い、道半ばで死んでいった人たちと本当に対照的でした。そんなピオランも老衰によって認知が進み、そんなところも描くのかと辛くなるシーンもあり、ピオランの死は悲しいのですが、それでも数多くの理不尽な死と対峙してきたフシが、この20話にしてようやく理不尽じゃない死に立ち会うことができたというのは1期の区切りにふさわしく、感慨深いものがありました。

SSSS.DYNAZENON #12『託されたものって、なに?』

正直、この作品の怪獣という存在については掴み切れていないですが、ドラマパートは分かりやすさと特撮の生っぽい空気感が好きでした。この最終回は最後の5分がものすごく好きで、付き合い始めた蓬と夢芽の会話を聞いて、この12話を通して南夢芽というミステリアスなヒロインのミステリアスのベールを剝がしたのだなと思えて満足感がありました。

トロピカル~ジュ!プリキュア 第33話『Viva! 10本立てDEトロピカれ!』

予告からして、強烈な爪痕を残しに来ましたみたいな異様さが際立っていましたが、予想以上のぶっ飛んだ回でした。しかし、OPがプリキュア5人が歌うVerだったり、アイキャッチが敵役Verだったり、くるるんの妄想変身バンクが他と遜色ないほど高いクオリティだったり、そして何といっても「ジュゲムジュゲムゴコウノスリキーレ~ランドビックダイナマイト」のめちゃくちゃ長い技名のアフレコどうやったの?って随所にみられる全力っぷりがまた面白い。他にも、それぞれ11本で可愛らしいデフォルメパターンが違うところも結構好きなポイント。見終わった後の充足感が高く、中毒性のあるエピソードに仕上がっていました。
こういう悪ノリのようなぶっ飛んだ話をプリキュアで見ることになるとは...感じつつも、トロプリで出てきたのは必然のようにも思えて、年々プリキュアシリーズの裾野の広がっているなぁ...と感じます。

雑感

この企画で一番難しいのは全体的なクオリティの高い作品とかをあえて1話しか選べないことですかね。無職転生とかODDTAXIとかモルカーとか考えてみたけど敢えて1話を選ぶのが難しくて結局入れないみたいことが起こりがち。それと、初回と最終話ですね。どうしてもクオリティが高いのは分かりきっているので、そればかり選んでいると企画的には片手落ちな感じもしつつ、全く無視して選外にするのも違うなという気もして悩ましいです。そんな感じで色々悩みつつも自分の納得のいく選出をしたつもりです。

今日の一枚

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かきのもと。食用菊。
茹でる前にはこんな感じで花弁をつまむ作業があります。