メガネ属性≠負け属性

アニメとか、ゲームとか、面白かったコンテンツについて言語化したい

スーパーカブ -女子高生×趣味(?)-

家族もいない、これといった趣味もない。高校に通う女子高生の小熊はある日、破格の値段でホンダ・スーパーカブを手に入れ、何もなかった小熊の生活は少しづつ変化していく。
彩度の低い背景美術や、最小限にとどめられた劇伴、内向的な小熊の少ないセリフと情報量を絞られた映像が印象的。情報量が少ない分カブのシートをなでるしぐさや、キックスタートによるエンジンの始動などひとつひとつ動作が際立ち、シートの手触りやエンジンの振動までも画面越しに伝わってくるようだ。

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飛び立つ君の背を見上げる -中川夏紀は「いい人」だったのか-

高校生のころ、特に理由はないが私は部活に所属していなかった。部活に所属していないのはクラスでも2,3人しかいなかったように思う。それに対して、どうとも思わなかったが、全員部活に入ることを強制される学校があるという話を聞いた時は驚いた。
しかし改めて考えると、中・高校時代の思春期の中にあって部活動というのは分かりやすくアイデンティティになるのだろう。
『飛び立つ君の背を見上げる』は部活を引退してから卒業までのモラトリアム期間、つまり高校時代のアイデンティティをひとつ喪失したところから始まる物語である。

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D4DJ First Mix -愛本りんく 巻き込み型主人公の魅力-

BanG Dream!』や『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』など音楽を通じて様々なメディアミックスIPを手がけてきたブシロードが展開するプロジェクト『D4DJ』。そのアニメ作品が『D4DJ First Mix』だ。主人公・愛本りんくが明石真秀など友人たちと「Happy Around」を結成するまでの物語が描かれる。「DJ」というあまり馴染みのないジャンルをテーマに扱っている本作。こういった新しいジャンルを扱う作品は主人公と同じ目線でジャンルの一端に触れる新鮮さがあるのが魅力の一つだ。本作は初心者であるはずの主人公・愛本りんくが手綱をもって物語を力強く駆動させる。ここに単にジャンル紹介アニメに留まらない勢いがある

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そにアニ -SUPER SONICO THE ANIMATION-第7話 スターレイン -旅の記憶は人とともにあり-

広々とした田園風景の中、軽トラの走るエンジン音とそに子が口ずさむ鼻歌だけがあたりの空気を震わせる。そんな田舎情緒あふれる一幕から始まるそにアニ第7話「スターレイン」では、珍しく地元新潟の風景が描かれている。
作詞をしながら一人旅をするそに子を描いたこの話は、池袋の東武から深夜バスに乗り、新潟市に到着し、そこから胎内市街、胎内温泉の旅館、最後に山奥にある星の展望台と旅をする。そして、ED曲には旅の中で作詞された「スターレイン」が流れる。旅を通して作られた歌詞は、やはり、そに子の旅をフラッシュバックさせ、なんとも旅情をかきたてる。

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たまこラブストーリー -どこにでもあるような物語を描く-

たまこラブストーリー」はその名の通り北白川たまこの恋愛物語を描いた作品である。しかし、いわゆる「私の王子様との運命の出会い」だとか「数多の障害を乗り越えて結ばれるふたり」といったドラマチックな展開はない。「向かいに住む幼馴染の男の子に告白されて、応える。」ただそれだけの物語だ。

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2020年アニメ感想まとめ 劇場版編

今年は20本でした。
コロナで延期したものあったり、「泣きたい私は猫をかぶる」のようにネトフリ配信になってしまったものもあるけれど、リバイバル上映として観に行ったのは「風の谷のナウシカ」と「もののけ姫」、4Kリマスターとして「AKIRA」と生まれる前の作品を劇場のスクリーンで鑑賞できたのは僥倖だった。

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