メガネ属性≠負け属性

アニメとか、ゲームとか、面白かったコンテンツについて言語化したい

リズと青い鳥 -アニメ!アニメ!に応募した記事の改稿-

以前、下の記事で「リズと青い鳥」のレビューを応募し、藤津亮太さんの寸評をいただきました。なので、レビューを修正しました。
animeanime.jp
wanwanfever.hatenablog.jp

レビューに対する寸評

すごくオーソドックスに書かれていて、現状のままでもいい原稿です。
特に、童話の説明の最後にみぞれのセリフが添えられていることで、単なるあらすじ説明ではなくドラマチックな印象を与える構成になっている点が上手く、目を引きました。

中盤以降に書かれている他のキャラクターについても確かに見どころではあるのですが、
主人公2人の別れの予感にフォーカスするなら、希美とみぞれだけに絞るか、他のキャラクターについては後ろに回した方がよかったかもしれません。
逆に高校生たちの別れの予感という形でまとめるのであれば、希美とみぞれのメタファーである『リズと青い鳥』の話を省き、それぞれの別れの予感について説明していくのも手だと思います。

最初の一文でだいぶ嬉しい。良いところも指摘してくれるのめっちゃ嬉しい。
その後指摘されているところは、実際書いててもうまく繋がっているか、ノイズになっていないか少し不安だった。なんか勢いで行けないかな?行けてるって思った。
自分が気にかかっているところって、やっぱりバレるんだな反省しました。
ちゃんとその感覚信じて直せれば良かったけど、どう直せばいいか分らんかったし、欲がでて省くこともできなかったのでそのままにしてしまった。話の展開パターンのストックとか、構成力が足りてないのを痛感させられた…

改稿記事

リズと青い鳥」はテレビシリーズ『響け! ユーフォニアム』の外伝的な作品である。テレビシリーズの主人公黄前久美子たちの一つ上の先輩である鎧塚みぞれと傘木希美のふたりに焦点を当てた作品だ。
本作はテレビシリーズの色鮮やかな情景から離れた、淡い水彩画のようなビジュアルが特徴的。その絵本のようなビジュアルは優しく幻想的な雰囲気がありながらも、少し張り詰めた緊張感が流れている。
それははふたりの間に「別れの予感」が存在するからである。

リズと青い鳥」とは作中に登場する童話の題名であり、またみぞれ達がコンクールで演奏する曲である。
ひとりぼっちで暮らしていたリズはある日、青い鳥を助ける。その数日後、青い鳥は少女の姿でリズの前に現れる。リズは青い鳥の少女と暮らすようになり、幸せな生活を送っていたが、リズは少女の正体に気づいてしまう。少女の正体に気づいたリズは、青い鳥は人の中ではなく空の世界で生きるほうが幸せだと言い、少女との幸せな生活を手放し帰してしまうという話である。
別れには悲しいイメージがつきまとっている。
自分にとって特別な存在である希美を失うことを、「別れの予感」を恐れているみぞれは「私がリズなら青い鳥を逃がさない」と言う。

希美との「別れの予感」を恐れているみぞれの繊細な心情は、ほんの少しの目の揺れ動き、表や音になるかならないかという微かなの息づかい、微妙に噛み合わない違和感ある会話など、細やかな表現で描写されている。この細やかなしぐさ、会話にフォーカスを当てるほどに高校3年生という時間が今しかないこと、ふたりの関係性が薄氷のように、もろく崩れそうであることを浮きだたせており、視聴者に息が詰まるような緊張感を与えている。

物語の終盤でリズの心情が理解できないでいたみぞれは、講師の新山のアドバイスで「リズの願いは青い鳥が空にはばたくことであり、青い鳥はリズの願いを叶えるためには羽ばたくしかない」という青い鳥の心情を理解する。
それは、みぞれの幸せは希美のそばにいることだが、希美の願いは「みぞれがオーボエを吹いてくれる」こと。そのため、みぞれは希美と道は違えることになってもオーボエを吹き続けるを決意する。この青い鳥の選択が青い鳥にとって幸せだったのかは分からない。
ただ、物語ラストの帰り道、ふたりの間に流れる穏やかな空気からは、息が詰まるような緊張感は感じられない。

また、この作中には「リズと青い鳥」、鎧塚みぞれと傘木希美の他にも「別れの予感」が2つ描かれている。
ひとつはみぞれとその後輩の剣崎梨々花。梨々花は鎧塚みぞれと同じオーボエを担当する1年生。彼女は唯一同じオーボエ奏者としてみぞれを慕ってくれる後輩である。コンクールのメンバーとしてみぞれと一緒に演奏できないことを悲しむ梨々花の姿は、先に卒業してしまうみぞれと先輩後輩としての「別れの予感」が垣間見える。
もうひとつは、物語の後半で演奏曲「リズと青い鳥」のソロをテレビシリーズの主人公である黄前久美子高坂麗奈がふたりで演奏しているシーンである。まだ2年生である二人もいずれ別々の道を歩く日がやってくることを想像させる。
この2つの「別れの予感」は別れを受け入れてることが読み取れ、みぞれと希美の関係性とコントラストになって描かれている。