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ジャナ研の憂鬱な事件簿を読み終えて感想

新鋭作家が織りなす日常系ミステリー!

と銘打って現れたライトノベル「ジャナ研の憂鬱な事件簿」が5巻をもって完結した。

おぉ!ラノベ日常の謎なのか!?買わなきゃ!と興奮したものだ。

どうもラノベではミステリというジャンルはあまり数がなく、日常の謎を扱った作品になるともっと少なくなる。知ってるかぎりだと2012年まで刊行していた角川スニーカー文庫子ひつじは迷わない」くらいだ。このシリーズは形式も変わっていてとても面白かったのだが、あまり売り上げが芳しくなかったのか6巻で打ち切られたのか終わってしまった。

その後では、ラノベ業界で日常の謎不毛地帯のように何もなく、ポツポツと中堅作家が単巻もので出すくらいだったと記憶している。

そんな中、「子ひつじは迷わない」が終わってから5年、われらがガガガ文庫から受賞作品としてジャナ研が発刊された。もう買うしかない。買ってラノベレーベルで日常の謎を読ませて!と思い買い続けたジャナ研。ついに完結を向かえた。

5巻とやや短いくらいだけど、きっちり完結まで刊行してくれた。ありがとう。

 

さて、やっと作品について語ろうと思う。まずは内容の紹介としてガガガ文庫のHPから1巻の紹介文を引っ張って来た。

新鋭作家が織りなす日常系ミステリー! 

海新高校ジャーナリズム研究会(通称「ジャナ研」)に所属している、性格は少々難アリだが頭が抜群にキレる工藤啓介は、中学時代にあるトラウマを背負っていたために他人とはあえて距離を置くような高校生活を送っていた。そして学内でも評判の美人でありお嬢様である純真な先輩・白鳥真冬と出会うことにより、次々と事件に巻き込まれることになっていく。学内外で起こる様々な事件を頼もしい友人らと一緒に解決していくことで、少しずつだが啓介の環境が変わっていくのだが……。第11回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作品!

小学館::ガガガ文庫:既刊情報

 まあまあ、古典部シリーズを思い起こさせる設定である。

主人公は人との関わりを避けるし、ヒロインはお嬢様だし、なんならイラストレーターは白身魚京アニを連想させるし。

実際に読んでみても、白鳥先輩がきっかけで謎解きをさせられる展開も多く設定や見かけ上では似通っているところも多かった。

読む前は高校ミステリでジャナ研だし、学校で起こった事件をちょこちょこ解決して記事にするんだろうなあ…とか思っていた。しかし、なんか主人公自身はそんなでもないに周りが学校以外にも交友関係広すぎて色んなとこから事件を持ってくること持ってくること。はぇ~白鳥先輩は読モでそういった友人もいらっしゃるのね~京太郎君は学外のバンド仲間もいらっしゃるのか~ほえ~あれれ~?おかしいぞ?この人たち全然学校にいないぞ?たぶんシリーズを通して学外で起こった事件の方が多いんじゃないか?

思ったよりも若干規模が大きかったり事件性が高い謎があったりするところは期待していたのとは違っていたけど、すごいまっとうにミステリをやっている作品だった。そして、基本的には主人公の啓介が探偵役を務めるけど、白鳥先輩が啓介とは違う視点から違和感を指摘して真相に近づくその関係性はかなり好みだった。

その他にも、事件で関わってきた人たちがその時限りの登場人物じゃなくてそのあとも啓介達と関わりができたりしていくのがシリーズものとして読む価値のある作品だった。特に女優を目指すユリなんて最後まで啓介となんやかんかあるもんだからサブヒロインかと思うくらいだった。

デビュー作で粗削りな感もあることは否めないけども、人物描写は好きだし何よりラノベでミステリを書く人が稀有なので今後も作家を続けて欲しいなあ。