メガネ属性≠負け属性

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レイジングループ -精神的な疲労を感じながらプレイした感想-

気軽な感想記事、2回目は昨日、というか今日クリアしたばかりの『レイジングループ』の感想を書いていく。

『レイジングループ』とはどういうゲームか簡単に説明すると、人狼ゲーム(汝は人狼なりや?)を基にしたテキストアドベンチャーゲームだ。
人狼ゲームを基にしたゲームと言えば、マルチプレイでいえば『Among Us』、シングルプレイでいえば『グノーシア』などがある。これらはゲーム上で人狼ゲームの体験できる人狼シミュレーションと言ったスタイルになるが、『レイジングループ』は人狼を伝承という形で"物語"の中に落とし込んだゲームということができる。つまり、”黄泉忌みの宴”はまさに人狼のルールそのものであるが、人狼ゲームをシミュレートして遊ぶのでなく、奇妙な伝承の謎を解き明かすサスペンスミステリーとして物語を楽しむゲームだ。


昨日は昼夕の飯をまとめて外に買いに出た以外、起きている時間ほぼ全て『レイジングループ』プレイして過ごした。17時間もほぼぶっつづけでゲームしてたのか...
日付を跨いで今日の午前3時半にようやくクリアしたが、流石に一日ずっと、サスペンスものに触れていると精神的に疲れていたのか、いつもの寮の廊下の暗さに薄気味悪さを感じた。

どうしてこんなに長時間一気にプレイできたのか。やはりテキストアドベンチャーの醍醐味の一つとして、キャラクター同士の会話がある。本作でもそれは十二分に感じることができ、”宴”の重々しいシリアスな会話と日常パートの軽妙な会話シーン。本作ではこのふたつのシーンのメリハリが巧く、長時間のプレイしていてもダレず小気味よく進めることができる。
また本作は、”黄泉忌みの宴”という儀式を生き残るという目的の上位のレイヤーに、殺し合いの儀式がそもそも実際に遂行されてしまう伝承の謎を解くという目的が存在する構造になっている。やはり昔から怪談・伝奇・伝承といったものはテキストアドベンチャーと相性が良い。本作にもその相性の良さはしっかり発揮されており、シナリオ終盤に向かうにつれて流れる緊張と高揚感、そして提示される数多の謎が次のシナリオをすぐに進めたいというモチベーションを牽引してくれる。
そして、クライマックスで奇妙な伝承が解き明かされていく謎解きパート。特に、長い歴史の中で変遷してどのように現代の伝承に落ち着いたのかを紐解いていく。変哲のない山岳信仰だったものが時代を下るごとに人為的悪意によって歪まされ、陽明たちが巻き込まれている”宴”へと変遷していくこの過程が読ませる物語になっていた。

そのほかに感じられた面白さとしては、伝承という形で人狼ゲームを現実世界に落とし込んだところだ。人狼ゲームでは、村人陣営は仮に自分が吊られても陣営として最終的に勝利すればよいが、現実に落とし込むとなるとそうは行かなくなる。”黄泉忌みの宴”は人狼ルールに則っているが、人狼でいう話し合いのセオリーは通用しなくなるところが出てくる。物語内では信仰心もありゲームとして成立しているが、現実に人狼ゲームが行われたらという思考実験として面白い。

最後、クリア後の特典として、各キャラのその後のシナリオの他に、各キャラの本音が聞ける暴露モードで本編で拾い切れなかった細かい謎を知ることができるので、もう少し本作を楽しみたいと思う。

今日の一枚