メガネ属性≠負け属性

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今日、暴太郎戦隊ドンブラザーズはハッピーエンドに到達した

今日、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の幕が閉じた。

今私はとりあえず番組の終わりに流しておけば全て丸く収まってように感じるあのED曲、「Don't Boo!ドンブラザーズ」を聞きながらこれを書いている。
youtu.be

2022年から始まったこのシリーズを遅ればせながらを追いかけ始めたのは9月ごろのことだ。
プリキュア仮面ライダーは見るものの、基本的に戦隊シリーズは見ない私だが、最近元気がない仮面ライダーの代わりに、と思い視聴し始めたのがドンブラとの"縁"の始まりだ。

ドンブラと縁を作ったこの半年間。
シーンの切り替わり毎にテンションが乱気流して、どういう気持ちで見ればいいのか振り回されまくりの作品だった。

私はこのブログで年末に「話数単位で選ぶ○○年TVアニメ10選」という企画に参加しているが、その選出の中でよく考えるのは、現在のTVアニメの1クール12話という基本単位についてだ。
話のつかみとなる1~3話、物語のミッドポイントとなる6,7話、そしてクライマックスから終幕へ向かう10~12話。多くの1クールアニメではこれを基本の構成として物語が展開されていく。無意識のうちにこの12話構成の速度感が私の視聴スタイルのベースにある。
それに比べると、年間を通して放送される作品は中盤以降が長く物語展開もスローになる印象がある。それはマンネリを引き起こしやすいデメリットがあるわけだが、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』はむしろ毎話新鮮なオドロキに溢れていて、間違いなく1年間放映される”強み”を活きた作品だという感触があった。この1年間通して放映されることの”強み”とは何なんだろうか?折に触れては考えてみたが、その正体はまだ曖昧に漂っていて上手く解体はできていない。

しかしひとつ、これはと感じているものはある。
それは、私たち視聴者と作品の間に信頼関係を築けることだ。

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』はOPにあるようにハチャメチャだ、というより無茶苦茶だ。毎週のように「そんなバカな...」と思わされるどころか、1話30分の中で「そんなバカな...」というような頭のおかしい展開が次々に襲ってきて、感情の置き場に困ってしまうことが多々ある。
初見のキジとイヌの凸凹シルエットのオドロキや、ピンクが初の男性なんて話題性の高いトピックももはや霞んで見える。たまたま見た人から「サルブラザーがモチーフゴリラなんだけど!?」言われても、そんな些末なこともそういえばツッコミポイントか...とズレた反応になってしまう。

そんな頭のおかしい展開が次々と襲ってくる作品を毎週、楽しみ視聴できていたのは、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』という作品はそういうことをすると、私たち視聴者が了承しているからだ。それは、年間を通して追ってきた私たち視聴者と作品の間に作り上げられた信頼関係なのだ。
視聴している中で、この共犯関係とも言い換えられるような信頼関係を感じられたとき、1クール作品では味わうことのできないカタルシスが生まれる。それが1年間放映される作品の”強み”、といえるのではないだろうか。

こういった信頼関係を築き上げられる作品というのは中々多くない。数年に1度あればいい方だろう。しかし、2022年は『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の他にもうひとつ作品に出会えることができた。それは同じく日曜日に放送されていた2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』だ。まったく違う作風の2作だが、脚本との信頼関係が築き上げられ夢中になった。
幸いなことにVシネも発表されて、まだもう少しドンブラを楽しむ機会はあるようだ。
しかし、日曜午前9時半にドンブラの最新話が放送されることは、もうない。

だから、そんな”縁”に恵まれた2022年の日曜日を私は記憶の中にしっかりと留めておきたい。

今日の一枚